【デバイス】Orbital2を使ってみて分かった良いところと悪いところ

令和に入って家庭用ゲーム機からPCでゲームをする敷居が下がったり環境が整えられてきた近年、左手デバイスの普及も目覚ましいものになりました。

今回紹介するOrbital2も例に漏れず左手デバイスではありますが、ゲームというよりもむしろクリエイター向けのデバイスです。

一応ゲームに応用しようと思えば使えますが、タイトルによっては厳しいものもあるので操作量が少ないゲームであれば応用することは出来ます。

が、ここではクリエイター視点でのレビューをメインとさせていただきます。

いつも通りですが、長々と書くのも疲れますし読む側も同様に疲れるので手短に、簡素にまとめて紹介します。

Orbital2の特徴と他モデルとの違い

外見の特徴からして、他に類似するような商品は私がネットサーフィンしている範囲では見つからない珍しいタイプのデバイスです。

中央に360度回転するダイヤル付きのスティックに加え、周囲に8つのスイッチボタンリングが付いています。
(別バージョンのLuminellaはダイヤル機能が無いので注意)

スティックも押し込みと、左右に回すことの可能なダイヤルが付いており、物理的なスイッチは3+8=11個となっており少なく思えますが、
ソフトウェアでは11個以上はもちろん、私の環境では39個のキーやショートカットの割り当てをしているので、見た目以上に機能性は高いです。
(設定しようと思えば70個以上の割り当ても可能 公式では250以上とは書かれてますが、未検証)

 

Orbitalシリーズは記事を書いている現在では3種類の機器があり、Orbital2、Orbital2 STERNA、Luminellaがあり、その中でOrbital2が最上位モデルに位置付けられています。

商品名 Orbital2 Orbital2 STERENA Luminella
価格(およその価格) 35,000円 19,000円 12,500円
プロファイル上限 無制限 5つ 不明
上級者モード - 不明
バイブレーション機能 - 恐らく無い
リストメニュー数上限 無制限 7つ 不明
プログラムマクロ機能 無制限 制限あり 不明
テキストブロック機能 - 不明
拡張機能 Lightroom Classic対応
(他ソフトにも対応予定)
Lightroom Classic対応 不明
アップデート対応 - 恐らく無い
Orbital Logger - 恐らく無い

「Luminellaの調査浅すぎない?」って思うかもしれませんが、ほぼ詳細が出てないのと、公式ではOrbital2とSTERENAの機能比較は出ているのにLuminellaだけ省かれていて比較が出来ないのです。

現状下位モデルの位置付けで機能は最低限に抑えられてると見て、中位モデルのSTERENAに付いてない機能は【恐らく無い】で表記しています。

で、Orbital2とSTERENAの注目の比較ポイントは【バイブレーション機能】【アップデート対応】の2つだと思っていますが、人によって気にしているところは異なるので全て軽く触れておきます。

Orbital2とSTERENAの違いについて

価格

倍くらいの差でOrbital2の方が割高。しかも35,000円の左手デバイスは左手デバイスの中では超高額クラス。

35,000円は高すぎィ!と思うかもしれませんが、やはり倍額の差には倍の性能差があるので、検討している方はよく考えて機能比較をすることを奨めます。

プロファイル上限

ソフトA、ソフトBでそれぞれスイッチの割り当てをしたい場合、STERENAは作成出来るプロファイルがソフトA~ソフトGの7種まで。

普段からそんなに多くのソフトを使用してない人であれば最大数7でもなんら問題無いです。

上級者モード

上級者モードはデバイスの仕様の説明になるのですが、スティックを倒したときに外枠8スイッチリングに干渉し、更にその方向に少しスティックを押すとスイッチリングを押すことが可能。

この際、スティックを倒したときの挙動を無視し、触れて押し込まれたリングの割り当てを実行するかしないかの違いが【上級者モード】となっています。

スティックもリングスイッチも半々、あるいはリングスイッチの方がやや多めに使う機会が多いのであれば上級者モードをONにしておいたほうが便利であり、
逆にそうでない場合はスティックを倒しすぎたときの誤爆を防ぐためにOFFにしておくことも可能。

この機能が付いていることに越したことは無いですが、必要というほどでも無いという感じです。

バイブレーション機能

スティックを倒したときに、ソフト側で倒した方向に対応した割り当てキーが実行されたタイミングでOrbital2にバイブレーションが実行される機能。

「別に無くても良くない?」って思うかもしれませんが、倒す角度が緩いと反応する判定範囲まで傾けられてなくて何も起きない、なんてことがあります。
なので、バイブレーションがあれば「入ったな」という感覚がダイレクトに伝わるので、ちゃんと傾けて入ったかな?といった心配が起きなくなるので便利です。

一応ソフト側でどれだけスティックを傾けたら反応するか?といった設定もありますが、それでもバイブレーションの有無は外せない機能です。

リストメニュー数上限

ソフトウェア側で設定出来る特徴的な機能。

任意のコマンドをスイッチ入力判定時にウィンドで表示し、登録されたプログラムやコマンドを選択して実行させることが可能です。

刺さる人にはぶっ刺さる機能ではないかと。

Orbital2は無制限に設定・表示可能ですが、STERENAは表示リストに7個までの制約があります。

プログラムマクロ機能

よくあるマクロを1ポチで実行出来るアレです。

STERENAが受ける制限は【テキスト入力が出来ない】という点であり、文章や複数文字からなる顔文字など組まない人は問題ないでしょう。

テキストブロック機能

私はイラストで使用しているのでこのテキストブロック機能の恩恵は少ないので詳細のレビューが出来ません。

主にプログラミングをしている人に向けた機能であり、頻繁に使うコードを登録し、ショートカットから呼び出せるものとなります。

別にコーダーではなくとも、ゲーム内やチャット上での定型文のようなやり取りをする際に挨拶だったりとかを仕込んでおけば一々入力せずともワンポチで文章を引っ張ってこれるというわけです。

拡張機能

Orbital2とSTRENAとの違いは、現状はLightroomにはどちらも対応していますが、Orbital2は他のソフトも今後対応するという違いです。

拡張機能は【使用するソフト側でのショートカットキー”以外”の機能も操作可能に出来るようにする】というものであり、
ソフト側でショートカットキーとして登録出来ない部分をカバーすることが可能な機能です。

私はLightroomは使用してないのでわかりませんが、これが自分の使っているソフトウェアに対応したら嬉しいでしょうね。

アップデート対応

ここ重要です。

STERENAは一生現状維持ですが、Orbital2はソフトウェアアップデートによって機能の拡張が行われるということです。

言ってしまえばSTERENAは【デバイスの不調などのサポートはされるけど、ソフトウェアの将来性での面のサポートはしませんよ】と言われているようなもの。

ただ、STERENAの機能面で十分な人には特に影響はありません。

Orbital Logger

ロガー、つまりログを表示するということ⋯

これは何かというと、先程紹介した【プログラムマクロ機能】の拡張であり、マクロを設定する際のサポートをしてくれるようなものです。

Orbital Logger無しだとマクロを組むとき
・事前に組みたいマクロのフローを覚えておく
・それをマクロ設定画面で一つ一つ入力して作成

という流れが、Orbital Logger有りだと
・Loggerを立ち上げて記録ボタンを押す
・実際にマクロを組みたいソフトで組みたいマクロの挙動のフローを実際に実行
・停止ボタンを押せば記録~停止までに入力されたキーコマンドが記録される

という形になります。

⋯これはオプションじゃなくて初めからデフォルトで付けて欲しい機能です。

Orbital2の悪いところ

良いところを紹介するよりもまず、良くないところから紹介します。
(通販サイトのレビュー見るときも悪評から見たほうが良いですよ)

スティックの押し込みのボタンが固い

中央のスティックは左右ダイヤル以外にも押し込めるスイッチがあるのですが、このスイッチが”スイッチにしては固い”のです。

擬音で表現するなら【バチッ】と【カチッ】の間くらいです。

バチッほど固くはないですが、カチッほど軽くもない。ガチッよりもぼちぼち柔らかいくらい。

ただ押すときに”押し込むぞ!”のような意識が入らざるを得ないくらいには固めです。

 

なので中央のスティック押し込みを多用する前提での運用を想定している方は大変注意が必要です。

たまに使う程度なら良いのですが、多用するとなるとストレスになると思うので本当に気をつけてください。

 

ちなみにスティックを傾かせるときの力加減ですが⋯メチャクチャ軽いというわけではないですが、固いということは絶対に無いというくらいには軽めです。

恐らく力加減の感覚としては、(事故や障害などで手や指が無い方には失礼ですが)あなたの手の親指の先端を手の甲側に押し込むくらいの力加減よりも軽く倒せます。

リングライトがチカチカする

こういったゲーミング◯◯みたいな光る装飾がいらない人はライトを切っちゃえば良いのですが、たまに雰囲気を出したかったりおしゃれにしたかったりする人もいるはずです。

チカチカするのは、色設定の画面で最大輝度よりも暗くすると発生するので、最大輝度に設定しておけば問題はないのですが⋯最大はちょっと明るすぎると感じることもあるので不満な点でもあります。

RGB値によってはLEDのちらつきが発生します。とはありますが、間違ってはいませんが【最大輝度より暗いと】という前提の表現の方がより正しいです。

見づらいですが、画像のカラーマップの右上に小さい◯があるのですが、これより下側に設定するとリングライトがチカチカします。なんだかなぁ。

 

一応、下の画像のように1/5/10/30mの区切りで自動消灯のオプションもあるので、放っておいたらライトが切れるので少しだけ目に優しいオプションもついてます。

 

インジケータ表示位置のオプションがやや物足りない

スティックを倒したときにメニューを呼び出す事が可能であり、その表示位置も画面中央・四隅・カーソル位置の6択で選べます。

上記の画像はOrbital2ソフトの設定画面で、赤枠内がインジケータ表示に関する設定です。

これの何が物足りないのか、というと、マウス追従以外の5つのオプションは【メインモニターにのみ出てくる】設定であり、
複数枚のモニターを使用している場合、サブモニターには出てこないのが個人的な不満点です。

シングルモニターで運用、あるいはメインモニターでのみ作業をする人なら問題無いのですが、
液晶タブレットを使用している身からすると、液タブをメインモニターとして使用している人は少数(ですよね?)のはずであり、
そうすると液タブはサブモニター扱いなので、液タブでインジケータを表示させるとなると必然的に【マウス追従】以外の選択肢が消えてしまいます。

これを指定モニターのオプションが付いたらサブモニターの液タブの画面内5箇所のいずれかに表示させることも出来ただろうに⋯と感じます。

四隅は扱いづらいですが、中央表示ができればマウス追従とは違った便利さがありそうなので今後のアップデートに期待です。

Orbital2の良いところ

良いところというのはやはり使用しているソフトとの相性があるでしょう。

私はテキストブロック機能やプログラムマクロ機能を割り当ててないのでプログラミングソフトでの評価は出来ません。

基本的にイラストソフトのClip Studioで使用していますが、慣れは必要なものの、慣れてしまえば快適です。

やはりダイヤルでブラシサイズ・ブラシ透明度・キャンバス回転やRedo/Undoなど、ダダダダッと連続で値を上げ下げする設定を割り振れるのが大きい。

特にそれらの機能を実行しているときのダイヤルを回す行為自体が気持ちよく、それだけで少し楽しいまでありますね。

 

あとはやはり自作したプロファイルを共有出来るのもよく、他所様のプロファイルで運用してみたり参考にできたり、または改良したりも出来ます。

【まとめ】確かに画期的で便利だけどOrbitalシリーズにこだわる必要は感じない

辛口評価をしてしまうと、35,000円は高く、画期的なデザインとアイディア分の料金だと考えています。

機能面としては確かに便利なものが揃っていますが、バイブレーション機能や上級者モードを除けばほとんど他の左手デバイスに備わってる機能のはずです。

それこそ私が大嫌いなRazer社のSynapseにですら搭載されており、なんならあちらのほうがマクロ面の機能が豊富です。

 

しかもデザインが独特であるがゆえに、まともに使いこなせるまでに時間が掛かってしまうのも辛いポイントです。

革新的なデバイスだと感じて惹かれて買ったものの、使い始めて数時間で「これは(悪い意味で)ヤバいもの買っちゃったな」と後悔したくらいには使いづらかったのを覚えてます。

まぁただ、これに関しては苦手でも辛くても、無理やり使うことを続ければ慣れるはずです。頑張ってください。

 

今後のアップデート次第で痒いところに手が届く可能性がありますが、そもそもOrbital2は高いから買う気がなく、STERENAを買うか悩むくらいなら他のデバイスにしたほうが良いでしょう。

私はそこそこのキーアサインが可能でダイアルが付いていれば良いと考えているので、イラスト作業がメインの方であればHuionやSIKAI CASEのデバイスの方が良いと思います。

Huionに関してはHuion製以外のタブレットと併用すると何かが干渉してトラブルが起きたりするという話を聞いたことがあるので要確認。

 

一番いいのは実機を触りに行くことですが、なかなか展示しているお店も少ないのが辛いところ。

左手デバイスは一般的な家電製品のカテゴリと比較するとマイナーな部類ですので、ちょっと大きな街の家電量販店には展示されてないでしょう。

関東圏であれば、秋葉原に行ける方なら秋葉原のヨドバシカメラやビッグカメラにはあるはずです。25年9月に秋葉原のビッグカメラに行きましたがOrbital2が展示されてました。

 

多機能であるがゆえ、実際に触ったりしてみないとわからないポイントも多いので軽い気持ちで購入に踏み切るのはオススメしない玄人向けのデバイスと評価しておきます。