
長年PCゲームでも仕事でもなんでも、PCにおける作業の一環で左手デバイスは私にとって必要不可欠なものでした。
シリーズは色々と使いましたが、ずっとRazerのTartarusシリーズを使い続けており、
Razer以外の左手デバイスを使用するのは今回が初めてとなります。
今回は購入したMH-Deltaの商品レビューというよりもむしろRazer製との比較に重きをおいた記事になるので、
左手デバイスデビューをMH-Deltaにしようかと考えてる人というよりも、Razer製のデバイスから移行しようかと考えてる人に向いてると思います。
本当は普段通りから結論スタートで書きたいのですが、内容が内容なのでまず初めに私が左手デバイスを使う上で重要視していることを先に述べておきます。
そうしないと、MH-DeviceでもRazerでも無い他のメーカーのデバイスでも良くない?と思われてしまいますからね。
いちおう、MH-Deltaは右手用と左手用で商品がありますが、ここでは【左手用】として記事を書いています。
左手デバイスに求めていること
・親指にアナログスティックのような機能を割り当てる事が出来る(指1本で簡単にWASDの使用が可能)
・出来るだけ多ボタン
この2つだけですが、どうにも1つめの親指の可動範囲にWASDの割当が可能なデバイスが少ないのでメーカーが限られてしまいます。
私の知る限りではRazer、MH-Device、HORI、Azeronの4メーカーのみで、これら以外は親指以外で移動のキーを割り当てて使ってね!という感じのデバイスです。
親指で移動するキーを割り当てたい、または割り当てている人でMH-Deltaの購入を考えてる人はこの記事をよく読んでおくと良いと思いますよ。
【結論から】どっちもどっち 良い点と悪い点がある
どっち、という2者はRazerとMH-Device間での話しです。HORIやAzeronは含まれていません。
早速サクッと表にして比較をしてみましょう。
見ての通り、今回購入したMH-Deviceを持ち上げるための記事ではないんですよね。Razerと比較したらちゃんと物足りない箇所があります。
まずそれぞれの評価項目をサラッと見ていきます。
快適性
快適性はRazer製品が最高レベルです。
エルゴノミクスといいますか、デバイスの構造や形状が人間の手の形に非常にマッチしており、どのキーも無理なく押せるのが強みです。
キーの分布範囲の形状が縦長なので、手の横幅よりも縦の長さの方が長い人類の手にマッチしたデバイスです。使っていて気持ちが良い。
一方MH-Deltaは手を多少移動させたり角度を変えないと押せない・押しづらいキーエリアが存在します。
つまり、Razerが縦長ならMH-Deltaはやや横長といったところですね。
私の手のサイズは手の付け根から中指の先までが20cm/横幅が10.5cmと大きめの部類であり、それでもやや不便さを感じるので
それよりも小さい人がこのMH-Deviceを忙しめのゲームで多くのキーを多用すると考えるとかなり大変なのではないかと思います。
慣れの問題かとも思い、到着から1ヶ月程度使い込んでみたものの⋯慣れてはきましたが、やはりMH-Deviceがめちゃくちゃ快適!とは言えません。
(長年Razer製品を使い続けていたからそう感じてしまう可能性はあると思います)
また、MH-Deltaのアナログスティックについてですが、このスティックを利用してゲーム内で移動を割り当てる場合、
恐らく親指の付け根から爪先の方向に向かってスティックを倒しても綺麗に真っ直ぐには移動してくれないでしょう。
このスティック、デフォルトでは私達の感覚と実際の入力の方向の角度の差がおよそ20~30度くらいズレています。
FF14で使用を考えている方は、ゲーム内でキャラクターの向きの調整が必要な時は結構気をつけないと、
思ってる方向に向いてくれなくて少しキャラがズレた方向を向いてしまった!なんてことになってしまいます。
一応ソフト側で【角度調整】の項目があるので、こちらで【自身が思う正面方向】にスティックを倒してから【角度調整】ボタンを押せば解決するはずです。
耐久性
MH-Deltaは約1ヶ月程度の使用なので耐久性を語るにはあまりにも短い期間ですが、とくに心配だと思う箇所はありません。
強いて言うなら、右上の突起スティックとアナログスティック下の3つの突起スティックが直下押し込み以外にも、やや斜めからの押し込みが出てきてしまうのが不安に感じます。
ただ、MH-Deviceは自身でカスタムしてオリジナルデバイスに仕上げる人もいるほど改造されるデバイスですので、
仮に部分的に故障したとしても、比較的分解や修理が用意な商品なのかもしれません。
メインキー(四角のキー)も、毛抜きみたいなアレでスイッチごと引っこ抜いて取り替えも出来るみたいなのでどうにでもなりそうな感じがします。
一方Razerについてですが⋯
初代TartarusやOrvweaverは耐久面の心配は無かったものの、後続機の親指のキーの耐久性が終わってるレベルで酷く脆い。
それが原因で4回くらいは買い替えをするハメになっています。
(1~2年に1機は故障してるペース)
故障箇所の原因ですが、簡単に説明すると内部でスイッチの役割を果たすパーツの厚みがあまりにも薄いので、
強めの力が加わったり高頻度でスイッチが押されると破損してしまうことによるものです。

内部のスイッチはこのスイッチで代用出来るはずですが、機能しなくなるたびにハンダで付け替えるのが面倒なので、
次壊れたらもう諦めてMH-Deltaを購入しようと決意してからの購入となったわけです。
このパーツ自体を購入して取り付けていたのではなく、歴代Tartarusのパーツから生きてる部分のスイッチを取り出して移植していました。
親指部分がMH-Deltaのようにアナログスティックにならない限り一生Razerの商品は買いません。
※Razerのスティック部分に関してですが、その部分を多用せず、時々・軽くしか使わない場合の耐久面で心配はいらないでしょう
ソフトウェア
利便性よりも先にソフトウェアを紹介しているのは、利便性がほぼ快適性と同義のような内容であり、違いがソフトウェアと合わせての総合面での評価だからです。
なので先にソフトウェアの紹介から入りますが、少し重要な箇所でもあるので少し掘り下げて見やすく紹介していきます。
MH-Device
動作が軽く、シンプルなソフトウェアだと感じます。
多くは求めず、でもちょっとしたオプションは付いてますよ、くらいの機能なので平凡といえば平凡かもしれません。
ただ、Razer Synapseを使っていた人からするとあまりにも物足りなさを感じてしまう一方、それは安定性との引き換えなのかとも感じますが制作者の思惑は不明。
Synapseについては後述しますのでそちらを確認してください。
で、MH-Deviceのソフトですが、キーマッピングの設定は直感的で分かりやすい反面、マクロのセッティングにやや癖があります。
で、割り当てる1キーの上限数(複合上限)ですが、例えばCtrl+Shift+Aのように、Ctrl、Shift、Altのような装飾キーの組み合わせは最大で2つまで。

マクロですが⋯ここはMH-Deviceソフトの使い方の説明はしませんので知りたい方は調べてください。出てくるので。
ただ、マクロはおそらく無限に作れるものの、セット出来る上限は現在12個までです。
つまり、13個以上を1つのプロファイルに割り当てることは出来ません。
多くのマクロを多用する人はMH-Deviceは厳しい⋯というか無理かもしれません。
が、ソフトウェアのアップデート次第では今後改善・解消される可能性は十分にあるので希望はあります。現状は無いだけで。
また、Razer Synapseで連射マクロのようなものを使っていた人なら分かりますが、0.1秒よりも早い間隔での連射は出来ません。
あと少し不満があるとするなら、プリセットファイルの切り替え時に5秒くらい要するのがほんとチョットだけストレスに感じます。
更にSynapse経験者ならわかるはずですが、自動プロファイル切り替えなどはありません。全て手動切替です。
Synapseは挙動やらバグはク◯の◯ソですが、細かいところに手が届きすぎる面に慣れすぎるとMH-Deviceのソフトが物足りなさ過ぎると感じます。
安定性はMH-Deviceの方が圧倒的なんですがね。
Razer
ソフトのスクリーンショットなんてありません。Synapse(Razerのソフト)も消せて清々してるくらいですからね。撮り直しません。
悪い点:挙動が鈍い(重い)/勝手にアップデートされる/勝手にアプデされて一部のキーの組み合わせが無効化されたりする(ブチギレ案件)/デバイスを認識しないときがある/ゴミ
良い点:マクロの設定が細かく出来る/プロファイル自動切り替えが可能
といった感じです。
正直良い点は2つだけですが、この2つだけでも結構偉大だったんだな、とMH-Deviceのソフトを使ってから感じます。
マクロの高機能化とプロファイル自動切り替えがMH-Deviceに付いたら最強に等しいんですが⋯
MH-DeviceはRazerやLogicoolといった大手企業ではなく個人?だったはずなので大変かもしれませんね。無理のない範囲で頑張ってほしいです。
余談:Razer Synapse 3もまぁまぁ酷いものでしたが、Synapse 4は本当に終わってました。よくあんなのでリリースにGOサイン出せましたね?
利便性
あまり左手デバイスにホイールって需要ないんじゃないの?と思うかもしれませんが、
左手デバイスのホイールの使用機会がある人にとってはRazerの製品のほうがオススメ出来ます。
Razer Tartarus V2やProには付いてますが(Nostromoは未使用)、それらはメインキーの右下のキーの箇所を犠牲にホイールに置き換えられており、
左手の人差し指で難なく操作が可能なので、自然にスイスイっとホイール操作が出来て快適でした。
が、MH-Deviceにもホイールは付いているもののメインキーよりも右側についており、ホイールを回す際は手の付け根自体を右に少し移動させないと回しづらいんですね。
もちろんズラさずともホイールに人差し指を動かして回すことも出来ますが、親指以外の4本指全体が35~40度くらい一緒にズレるのがちょっと気分が悪い。
指の長さが短めの人なら人差し指を右にズラすだけで事足りるはずですが、長いと手のひらの中央を軸に右回りに35度くらい回さないといけなくなります(私の場合)
また、MH-DeltaのホイールはRazer左手デバイスシリーズのホイールと比較してやや固めなので、スイッスイッとは回ってくれず、ややコロッコロッという感じです。
加えて、右上の突起ボタンとアナログスティック下の3つの突起ボタンは『カチッ』と『ガチッ』の中間くらいの強さ押し込みが必要であり、
なかなかこういったキーボードやマウス系では珍しくスイッチがかなり固めなので一応念頭に置いたほうが良いです。
この点はなかなか実機を家電量販店で置いてないことによって専用の展示してくれる場所だったり知り合いに触らせもらうなりしないと確かめられないのが辛いところ。
触って確かめられる環境が近くにある人は良いですが、ほとんどの人は注文後の手元に届くまでは分からないので届いてから不満に感じる人も出てくるはずです。
まとめ
とりあえず【耐久面】と【ソフトウェアの安定性】の2点を最優先にMH-Deltaに切り替えたので、結果的に満足ではありますが、改善点や要望は出てきます。
ただ大切なのは、使っていて「物足りない」という感覚よりも「問題なく普通に使えている」という使用感の方が大事だと気が付きました。
扱いやすくてあれこれ出来るけど時々バックレたりそもそも居なかったり反応が鈍くなったりする人
VS
ちょっと近寄り難くて何でも出来るわけじゃないけど最低限以上は出来て、レスポンスも行動も早い人
前者がRazerで後者がMH-Deviceなわけですが⋯好みでどうぞ。という感じですね。
もしも⋯
・基本形状はRazer Tartarus
・親指のスティックだけMH-Deltaのようなアナログスティック
・ソフトの軽さや挙動の速さ・安定性はMH-Device
・ソフトの機能面はRazer Synapse
こんな最強のデバイス&ソフトウェアがあれば速攻で購入するんですが⋯どこか・だれか作ったりしませんかね?